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苦難を通して歓喜へ [田島氏の随筆集]

 ベートーヴェンは、人生の半ばにいて、耳が聞こえなくなってしまった。音楽家にとって耳が聞こえないことほど大変なことはない。彼は自殺を決意して、遺書を書いた(ハイリゲンシュタットの遺書)。しかし、彼は死なないで、死よりもつらい苦難を通して生きる道を選んだ。そして最大の名曲、第九交響曲をはじめ多くの名曲を完成した。

 「苦難を通して歓喜へ」というシラーの言葉に支えられて、今に残る名曲ができあがった。この曲のおかげで、どれだけ多くの人が勇気づけられ、生きてこられたことか、計り知れない。

 私は年末恒例のこの曲の演奏を聴くと震えあがるような感動をいつも覚える。

 ベートーヴェンが苦難の中にあっても、生を選び、以降の作曲活動を闘ってくれたからこそ、人類は生きる喜びを与えられたのだ。私はその偉大な苦闘を思い、感謝の念を抱くものである。ベートーヴェンは「人間とはそういうものだ。苦難に負けず、闘って勝て」と言っているように思われる。


29.5.10

田島信威

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